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プレシードスタートアップでの反省

半年ほどプレシードスタートアップでソーシャルメディアアプリを作っていたが、そこで得た教訓を書き連ねていく。
ごく当たり前の、本を読めば得られそうな知見が多いですが、それらを肌で学べたので後悔はしていない。
 

さっさとリリースをすべきだった

スタートアップや個人開発の界隈で何千、何万回も言われていること
“Done is better than perfect”
何よりもまずリリースを最優先にして考えるべきだった。
クローズドベータも試したけれど、クローズドで怪しげなアプリを使いたい人なんていないので、さっさとリリースすべきだった。
どんな形であれ、パブリックにできないものは何もしていないのと同義であり、ユーザの声や周りで使ってくれる人のフィードバックをもとに少しずつ改善していけばいい。
半年とかかけてつくるのは費用(時間)対効果が低すぎるし、なんならGitHubに落ちているクローンアプリをもとに修正してアプリとしてリリースすべきだった。
ゼロから作るのは開発者のエゴでしかないなというのが学び。やはりコードはできる限り書かないに限る。
 

作り始める前に需要を確かめるべきだった

これもよく言われることで、「Burning needs」とも呼ばれるけれど、そのプロダクトを作る前に売れる(お金を払ってくれる)ものかどうかを考えるべきだった。C向けとB向けで違いはあれど、使いたいと思う人が最低限いなければ、完成しても使ってくれる人はいないだろう。
マーケティング起点とかプロダクトファーストとかそんな議論をする前に、誰のどんな課題をどうやって解決するのかを見定める必要がある。どうやって、がプロダクトに反映されるが先にこういう機能が面白いからこの機能ありきで考えようとしがちなので注意が必要。
 

パートナーの資質を見極めるべきだった

元々知り合いでも何でもなかったので相手のことを何も知らない状態で始めたのは1番の反省です。
紹介してくれた人も、特に一緒に働いていたとかではなくWeWorkで出会った、要はただの顔見知りだったようです。紹介してもらえたことにはとても感謝している。
もちろん、自分がエンジニアとして一緒にやっていく前に、相手の生い立ちやキャリアについて尋ねはしましたが、やはりそれらの情報は主観的なものでしかなく、それが信頼に足るものなのか、正しい情報なのかは自分に判断することはできず、相手を信頼する以外なかったのです。
そもそも性格的に相性が合うのか、倫理観や価値観の擦り合わせのような、友達同士で仲良くやりたいなら別だが、事業としてやるんだから確かめてからでも遅くはないだろう。相手と自分が置かれている立場や経済状況などが違えば、いつかそこから綻びが出るので、違和感を感じたら傷が深まる前に立ち止まってみよう。
相手の能力や資質を見極める方法は一緒に働く以外にないので、世の中で共同創業者に恵まれた起業家の人たちを羨むと同時に、自分がそんな人たちと働く機会を積極的に作ってこれなかったのは、キャリアパスの中でミスの一つだったなと考えている。
 

自分のキャパシティを明確にするべきだった

半年ほど無給で働いていたので、少しばかりの貯金を崩しつつ、細々と続けている副業で食い繋いできた。
理論的には半年以上生きていける状態でしたが、口座残高が日に日に減っていくのを見ることは精神的な苦痛であり、自分にとって許されざる行為だったようだ。
こればかりは自分で経験してみないとわからないことだったので、今の段階で心から理解することができてよかった。
例えば、全ての仕事を辞めて個人開発一本で食っていく!なんていう挑戦は向いていなくて、本業をしつつ、空き時間を使って何かをするという方が性に合っているみたいです。
後述しますが、自分が本当に好きなものを作っていればそんな状態に陥ることはなかったかもしれませんが、自分が好きなものや熱中できるものなんて、月日の経過によって変化し得るので、それらを考慮に入れたとしても、この先のキャリアにおいて最も役に立つ判断基準の一つができて安心している。
そして、無給では2度と働かない。最終的に自分の能力を過小評価されているし舐められていると感じたので。
結局、「お金の余裕は心の余裕」であった。
 

違和感を大切にすべきだった

そもそも、ソーシャルメディア自体を心の底から好きと言えるかというとそうでもなくて、TikTokやBeRealの台頭は目を見張るものがあるものの、自分自身の生活や将来を良くしているかという観点で見ると全く賛成できるものではない。もっと本質的に人の役に立つものを作り使われる方が圧倒的に充足感がある。とは言いつつ、人々が新しいソーシャルメディアを求めているのも事実なので、それなりに挑戦する価値はあったし、やってみないと真に理解することはできないと思っているので、後悔はない。
 
「画期的なアイデア」というものはこの世に存在しなくて、今あなたが思いついたものは最低1万人は考えたことがあるもので、その中で100人くらいが実際に挑戦し、さらにそのうちの1人だけがやり続けるのである。ただし、その「アイデア」を実装しただけでは誰にも使ってもらえなくて、世の中により広めていく行為(マーケティング・広告)が必要で、人に知ってもらえて初めて実現したといえる。そこからようやく長い道のりが始まるのだが、やっていく覚悟があるかどうかは初めから決まっているでしょう。
 
塵のような小さな違和感は、やがて山のように大きな悩みとなって自分を苦しめることになる。何がきっかけでそのダムが崩壊するかもわからないので、頻繁に自省し、誰かに相談するなり、してみるといいでしょう。相手に直接打ち明ける関係性を築けなかったのは失敗の一つだと反省はしている。
 

おわりに

つらつらと書いてはみたが、反省することだけではなかった。
好きな技術を使って好きなように開発できたし、ほぼ一人で実装からリリースまで行えたのでそれなりの知識や知見を得ることができた。利用技術の一つのおかげで現職を得ることもできた。
当初の想定の一つである、Worst case scenario「半年間無給でやって何も得られない」という状況に限りなく近いけれど、自分の選択を当時は信じていたし、正しい判断だったと今でも信じている。
が、反省することはいっぱいあるし、しっかりと今後につなげていきたい所存。
今後は危ない綱渡は辞めて、堅実にコツコツ積み上げていけるような活動をしていきたいと考えている。